こんにちは!新城、豊川で大工さんとつくる新築注文住宅、鈴木工務店の鈴木 太です。
6月に早々と梅雨が明けて、猛暑日が続いています。
それによって、電力需要が急増し連日のように電力需給逼迫注意報が発令されています。そこで、今日のブログでは上がり続ける電気料金とオール電化についてのお話です。
おさらい、オール電化とは?
そもそも、「オール電化」とは?からおさらいしましょう。
「オール電化」のお家は、調理・給湯・空調の全てを電気で行っている住宅です。調理にはIHクッキングヒーター、給湯にはエコキュート、そして空調はエアコンと設備機器の全てが電力で作動します。
そして、オール電化が浸透した理由として、お家の中で火を使わない安全性と、電気料金が安い夜間電力を積極的に使用することでお家の光熱費が抑えられる、ということからオール電化が浸透していきました。
なぜ、夜間の電気は安いのか?
では、今さらですが、なぜ夜間の電気料金は安いのでしょうか?
その理由は、実は単純なものです。夜の電気料金が安いのは、夜に電気が余ってしまうためです。
多くの発電施設では、昼間のピーク時に発電量が不足しないように大量の電気が供給できるように整えられています。昼間と夜間で発電する電気の量を細かく調整することは難しいので、夜になるとたくさん発電してしまい電気が余ってしまうので、それをみなさんに使ってもらうために夜間の電気料金が安く設定され、それを活用する「オール電化」が推進されてきました。
見なくなったオール電化のCM
この「オール電化」については、以前にはテレビのCMでもよく放送されていたことを覚えてますか?
いつの頃からか、テレビCMを見かけなくなりましたね。それがいつからかというと、2011年の東日本大震災、それに伴う福島の原発事故からです。オール電化は夜間に電気が余ってしまうから推進されている、と書きましたが、その電力は原子力発電を前提としていました。原子力発電は、一度稼働し始めるとなかなかストップすることができないからです。
ですが、東日本大震災により原子力発電の多くは稼働停止しました。そして、オール電化のCMを見かけなくなりました。
でも、それ以降も夜間の電気料金は安かったですよね。
それは、火力発電所においても原子力発電ほどではありませんが、ある程度の発電量を一定に保っていた方が効率がよいためです。それでも、原子力発電ほどには余剰電力が生まれないことからオール電化のCMは姿を消していきました。
その後、2012年には経産省が東京電力に「オール電化割引の廃止」を求め、2016年には中部電力でオール電化割引の新規受付が終了されています。徐々に、オール電化が廃止される動きは進められていました。
見直された電気料金
そして、昨年2021年10月に中部電力からある発表がされました。
それは、2016年に新規受付を廃止したオール電化プラン、廃止以前にこのプランで契約をしていたお客様の電気料金メニューの単価改定でした。新規受付はすでに廃止されていますが、既存のお客様についても徐々に割引を減らしていくということです。
見直しの方向性は「昼間料金単価の引き下げ」と「夜間料金単価の引き上げ」と「夜間運転機器の割引廃止」です。夜間の安い電力を使ってお得に暮らすオール電化がなくなる、ということが分かりやすい方向性ですね。
今回の見直しの理由として、中部電力ミライズのWebサイトにはこのように記載されています。原文のまま記載しますと、
「お客様設備や昼夜間の電気の使われ方の変化(太陽光発電の投入拡大による昼間需要減少および深夜機器普及による夜間需要増加)に伴い、発電に係る昼間と夜間の費用差が縮小したため、対象となる料金メニューについて見直し(引き下げ・引き上げ、割引廃止)をおこなうことといたしました。」
ということです。
詳しい内容を知りたい方は、こちら中部電力ミライズさんのWebサイトをご覧ください。
昼間需要の減少と夜間重要の増加という状況は、これからも進んでいくと思います。
実際に、みなさんのご家庭でも夜間の電気使用は以前よりも多くなっていませんか?みんなで居間でテレビを見ていた時代から、家族それぞれがスマホを持って動画を見たり、タブレットやパソコンを使ったり、という生活スタイルになりましたね。
各家庭で夜間に使われる電気が増大しているのに、その電気料金がいつまでも安いままというわけにはいかない、ということです。
そして、オール電化が推進されていた時代には大きくあった夜間電力のお得感がなくなっていきます。
上がり続ける光熱費
東日本大震災以降、上り続けてきた電気料金ですが、今年に入り原油価格の高騰やロシアのウクライナ侵攻により、さらに上がっていくことが予想されています。
実際に、中部電力が発表した22年3月期の連結決算が、8期ぶりに赤字だったことからも明らかかと思います。
では、私たちはどうしたらいいのでしょう。
これからお家を建てる方も、すでにお家を建てた方も、暮らしに節電意識を高める、ということももちろん必要です。
そして、お家の住宅設備や電化製品の選定においても、設備費用や設置する工事費用だけでなく、その後のランニングコストの違いをこれまで以上に重視していただくことが大事です。
買う時、建てる時、だけではなく、その後に長く続く日々の暮らしにもしっかりと目を向けていきましょう。