「手刻み」と「プレカット」どちらがいいの?

木造注文住宅を建てる時に、大きく分かれる2つの選択肢。
それが、「手刻み」か「プレカット」か、です。この手刻みとプレカット、どちらがいいのか、というのが木造住宅を検討する中で大きな疑問ではないでしょうか?
手刻みの住宅会社さんに聞くと「手刻みがいい」とすすめられ、プレカットの住宅会社さんでは「プレカットがいいですよ」と進められます(当然のことですが)。

鈴木工務店は、元々手刻みにて注文住宅をつくる工務店としてスタートしました。
今は手刻みも行いますが、プレカット工法も採用し、プレカットによる家づくりが大半を占めています。
そこで、手刻みとプレカットの両方を行う工務店として、今日はこの2つの違いやメリット・デメリットについてまとめてみました。

そもそも、「手刻み」とは・・・

木造住宅の伝統的な建て方、木造軸組み工法では、柱や梁といった1本1本の部材を組み合わせて家の構造を支えています。この構造材を製材の状態から、「墨付け」と言われる印付けを行い、ノコギリやノミ、時には加工機を使って、実際に使う柱や梁にする作業が「手刻み」です。

墨付けも手刻みも昔から受け継がれた伝統技術です。さらに、1本1本特徴や性質の異なる木材を見極め、家のどこにどの材を使うかと選定しなければなりません。そして、柱と梁、梁と梁など2つの部材を組み合わせる「仕口」や「継手」をつくるというのが、手刻みの難しい部分でもあります。

このように、大工さんとしての伝統的な技術がつまったものが、「手刻み」です。

プレカットとは?

プレカット工法が、現代の木造住宅の主流です。
「プレ=事前に、カット=カットする」ということで、木材工場でコンピューターと機械を使い、住宅会社や工務店に納品する前に、構造材を刻みます。
コンピューターにて行われるので、短時間で精度が高く、また均一に構造材ができあがります。職人さんの技術による差が出ず、効率的に刻むことができるので、現代ではこのプレカット工法が多くの住宅会社や工務店で採用されています。

手刻みのメリット・デメリット

メリット

・木組みや木目をうつくしく見せられる
・曲がり梁や野物の施工にも対応できる
・大工さんの職人としての技術が継承できる

デメリット

・プレカットと比べて大工さんの手間がかかるのでコストが高くなる
・プレカットと比べて施工時間がかかる
・対応できる住宅会社や工務店が限られる
・大工さんの腕によって仕上りが左右される

プレカットのメリット・デメリット

メリット

・コストダウンができる
・手刻みと比べて工期が短い
・ほとんどの住宅会社や工務店で対応できる
・機械施工なので、仕上りが大工さんの腕に左右されない

デメリット

・木材の見極め、選定がプレカット会社さん任せになる
・複雑な加工や特殊な木材は対応できない
・大工さんの職人としての伝統技術の継承ができない

まとめ:どちらがいいの?

ご覧いただいたように、手刻みとプレカット、それぞれにメリットとデメリットがあります。
では、どちらがいいのでしょうか?

それは、一つの正解はなく、あなたの建てたい家によって決まる

ということです。
家づくりは大きな買い物ですので、コスト面を重視すると、プレカットが有利となります。性能も均一なものに仕上がります。
ただ、手刻みによる木組みの美しさ、棟梁や大工さんの墨付け・刻み技術には、コスト面を超えた価値があります。過去には、あえて棟梁の墨付けがキレイだから、と現しにしたお客様もいらっしゃいます。

鈴木工務店では、プレカットも手刻みも対応しています。
どちらがいいか、お気軽にご相談ください。棟梁に聞いてみたい、という方は、事前にご連絡いただければ、棟梁に直接話を聞くこともできます。

あなたの家づくりでは、性能の均一さや効率面が有利なプレカットにしますか?
それとも、昔ながらの家づくり、棟梁や大工さんの技術を活かした住まいにしますか?

この記事を書いた人

鈴木工務店鈴木太